看護師等養成所を取り巻く状況は、この数年で明確に変わりました。国が求める体制の水準が上がり、当事者団体が相談の増加を報告し、合理的配慮の提供が法的義務になりました。しかし、それぞれの変化が実務にとって何を意味するのかは、ばらばらに語られがちです。このページでは、当社が公開している記事を、読む順序に沿って整理しています。
WHAT CHANGED
いま、何が動いているのか
1. 国が求める水準が上がった
厚生労働省「看護師等養成所の運営に関する指導ガイドライン」は、令和5年5月11日の改正(令和5年6月1日適用)により、第5-1-(13)に「ハラスメント」を明記しました。改正前は「学生の生活相談、カウンセリング等を行う者が定められていること」でしたが、改正後はハラスメント等に対する相談体制の確保に加え、養成所内のハラスメント防止に必要な体制を整備することが求められています。
この通知は地方自治法に基づく技術的助言であり、それ自体が直接の法的義務を課すものではありません。しかし都道府県が自県の指導要綱に反映することで、実地指導や自己点検の着眼点になります。
2. 当事者団体が状況の変化を報告している
日本看護学校協議会が厚生労働省の令和5年度看護職員確保対策特別事業として取りまとめた『看護師等養成所におけるハラスメント対応事例収集事業 報告書』(令和6年3月)の冒頭で、同協議会の会長は、養成所におけるハラスメント事例が報道される機会が増え、電話やメールによる相談も増えてきており、養成所を取り巻く状況が変化していることを感じている、と述べています。
同報告書が収録する事例の多くは、学生や家族からの相談が学校ではなく都道府県の窓口に寄せられるところから始まります。声はあがっているものの、学校には届いていない、という構図です。
3. 合理的配慮の提供が法的義務になった
障害者差別解消法の令和3年改正により、令和6年4月1日から、事業者による合理的配慮の提供が努力義務から法的義務になりました。臨地実習への参加可否をどう判断するかという場面では、この義務が、学生への安全配慮および患者の安全と、正面から交差します。
これら三つは別々の出来事に見えますが、実務上は一つの問いに収束します。相談を受ける仕組みと、防ぐ仕組みを、どう設計し、どう説明するかということです。
BY ROLE
お立場から探す
管理者・事務の方
制度が求める水準と、自己点検・自己評価への記述の仕方から確認されるとよいと思います。
→ 指導ガイドラインに「ハラスメント」が加わった日
→ 自己点検・自己評価に「ハラスメント対応」をどう書くか
看護教員の方
日々の指導と評価に直結する論点から入るのが実際的です。
→ 臨地実習の評価は、なぜハラスメントの訴えになりやすいのか
→ 看護教員のためのハラスメント防止ガイド
学生の方
まず、ご自身に起きていることを言葉にするところから。
→ 看護学生のためのハラスメント対応ガイド
→ なぜ看護学生は沈黙するのか